「4つの切妻の家」
約8年前に内装設計をした動物病院の、住宅併用での建て替え計画。元々住宅部分の北側に付属していた動物病院部分のみを残して営業を続け、住宅部分を撤去した南側エリアに新たな動物病院併用住宅を計画した。残した動物病院は完成後に撤去し、エントランス+駐車スペースにするという工程である。
1階動物病院と2,3階住宅部分で必要な機能と面積を形にすると、1階>2階>3階と上階へ行くほど小さくなるボリュームとなった。南側余白の大半を占めるボリュームなので、東側道路に対しては上階へ行くほどセットバックすることで威圧感を軽減している。さらに2階広間の一部が半階分の吹抜となることで、1階、2階、2.5階、3階の4つの切妻屋根が連続した形となった。
病院部分は旧来のデッキ材を使ったルーバー曲面壁のイメージを引き継ぎ、駐車スペースの病院/住宅エリアを分けるルーバー壁を看板にしている。ルーバー壁はガラス張りの待合内部にまで曲面を描きながら連続し、4つの切妻屋根のボリュームを浮き上がらせて見せている。
住宅部は2階で畳敷きが連続する広間が特徴的で、LDK・寝室・客間・勉強室といった機能が、襖で仕切られつつ続き間としてつながっている。唯一2.5階として持ち上げた屋根の半吹抜を通して3階ともつながり、勾配天井が大きなバルコニーへと視線を導く。障子戸は雪見にするとともに全面開放できるように引き込み、開閉によって明るさや視線の調整を細かにできるようにした。
職住がほどよい距離感を保ちながら、より一層地域に根ざした病院になって欲しい。
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