「川に寄り添う家」
川と道が鋭角に交わってできた三角形敷地に建つ小さな住宅。接道義務の特例許可が必要なため、様々な規制の中での計画となった。
住まい手は夫婦と小さな女の子。限られた面積の変形敷地ではあるが、土手と遊歩道を介して川に面するため、様々な川との関係をつくりたいと考えた。建物は敷地と相似の三角形平面を鋭角部分でカットし、斜線制限内で最大限確保できる変形寄棟の外形ボリュームとしている。1階はプライベートな階だが、水廻り以外は仕切らずに、玄関・階段・収納などとはレースのカーテンで仕切るにとどめた。2階は屋根の稜線によって一体につながりながら耐力小壁によってエリア分けされ、それぞれ違った開放感と川との関係をつくりだしている。すなわち、
1/ダイニングキッチン:階段を上がった西側は平面的に最も広く、屋根頂部に向かって上昇感のある天井の高い空間。2/リビング:中央部は天井が低く抑えられ、全面開口の両側がベランダと出窓となって外側に延びていく浮遊感のある空間。3/予備室:最奥の東側は川の流れの向きに絞り込まれるような形で、深淵の先に差し込む光を見るような空間。さらに、4/ロフト:中央上部で2つの天窓が設けられ、川を見下ろしたり空を仰ぎ見られるような空間。
限定されたボリュームが川に寄り添い、お好みの居場所を探しながら生活できるような、様々な空間をつくることができたと思う。
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